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禁断の果実に口づけを
第18章 女の本性
黙って車を運転する理一。
優美子は徐々に落着きを取り戻すと、「スタンドプレーしちゃいましたね」と一言呟いた。
「それだけ悔しかったんですよね?」
理一は冷静な返事を返した。
「いつの日か、風間の女遊びにも慣れていました。
『あぁ、またか』とがっかりする気持ちと悔しい気持ちを溜め込みながら……。
そんな事てま騒ぎ立てて、今の生活を失うのが怖かった。
私が我慢すればそれで済む事でしたし、無駄に波風も立ちません。
私は何も取り柄がない女なんです。
その生活を変える勇気もありませんでした。
理一さんに出会うまで……
人は支えが出来て、満たされて強くなれるもんなんですね。
今朝、初めて風間を引っ叩きました。
今まで言えなかった事も、言葉になって溢れ出してきました。
三行半を叩きつけてやるのは私からって決めていたのに!
憎いという感情をコントロール出来ませんでした。
風間の大事なものを壊してやりたくなった。
あの女にも屈辱を味あわせてやりたくなったんです。
だって不公平でしょ?
妻の私はずっと我慢してきたのに、美味しい部分だけを噛み締めてのうのうとしているなんて!!」
「正直、横澤や晴美さんから連絡が来た時は焦りました。
優美子さんが営業所に乗り込んだと…。
でも、覚悟も同時に出来たんですよ。
倉橋朋子に思い知らせてあげましたか?」
理一は優美子を気遣う様に優しく言った。
「ええ。
横澤さんが揺さぶりを掛けるだけじゃ、私には物足りなかった。
彼が営業所から出てくるのを待ち伏せしました。
追い打ちを倉橋朋子に掛けてやりたくなったんです。
風間はあんな女が好きなんですね…」