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禁断の果実に口づけを
第19章 サヨナラの訳
車に乗り、暫し無言になる二人。
高速に乗り、レインボーブリッジを渡り、お台場の観覧車がライトアップされている風景が目の前に見えても、重苦しい雰囲気のままだった。
湾岸線に入り、遠くにディズニーランドが見えた時、優美子がやっと口を開いた。
「高速を使えば成田なんてすぐね。
あなたのお話はそれまでに終わるのかしら?」
「優美子…」
「あなた、輝を何度ディズニーランドに連れて行ってあげたか覚えてます?」
「二回か…」
「すぐに数えられるわね。
高速に乗ればこんなに近くにあるのに」
「あぁ…」
「幼稚園のお友達がディズニーに行ったって自慢されて、余りディズニーを知らない輝が『連れて行って!』ってせがんだ時、あなたはあの子に、『じゃあ、次の日曜日に行くか!』なんて気軽に言って喜ばせてた。
指切りまでして約束したのに、すっかり忘れてすっぽかしたわ。
輝はその日ずっと泣いていたのよ。
すっかり拗ねてね…。
その時からかな……
私、結婚する人間違えちゃったかもしれないって思い出したのは」
淡々と話してゆく優美子。
黙ってハンドルを握りながら聞いている健。
それぞれの胸の中に破綻に至るまでの思いが巡る。