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禁断の果実に口づけを
第19章 サヨナラの訳
「俺が悪いのは認める。
ただ、これ以上倉橋朋子に関わるのは辞めてくれないか?」
「あははははは……
はぁー 可笑しい。
あなたって、最期まで妻を馬鹿にするんですね?
良く言えましたよね。
愛人を助けてくれなんて。
可笑しくて涙が出ちゃうわ。
あなたが守りたいのは、あの下品な愛人なんですか?
自分の仕事の為なら、あなたを利用してでものし上がってきた様な卑しいあんな女なんですね?
あんな女に私は劣っていたんですか?
本当、悔しいやら哀しいやら……
もう、笑うしかないわ。
構いませんよ。
あの女を不倫訴訟しても、貰える慰謝料なんてたかがしれてます。
その代わり、今日は二度とあの職場には復帰出来ないくらいのダメージを与えてやりましたね。
あの女のみっともない姿を見てスッキリもしたんですよ。
これ以上、あの女と関わっても、猫が本能で獲物を捉えて痛ぶり続けるのと変わらないものね。
私ね、そこまで腐ってないの。
ただ、最期の最期に確信出来た事は……
私はあなたに愛されてなかったと言う事ね。
だって、私が細川と不倫しても、あなたは何も言わず、知らん振りを通してきた。
部下に妻を寝取られても、悔しい、屈辱的だなんて気持ちもなく、むしろ、楽になった、解放されたの気持ちの方が大きかったのよね?
これでお互い様くらいの、素っ気ない気持ちをあなたは私に向けていたんですよ!
不倫してあなたの気持ちも分かりました。
いかがわしい秘密を持つ事で、それを隠したいから嘘の優しさを纏うもんなんだって。
所詮、優しさも寛大さも偽物なんですけどね!」