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禁断の果実に口づけを
第19章 サヨナラの訳
「ねぇ、どうして私達の歯車は狂ってしまったの?」
「……きっと慢心してしまったんだよ。
優美子と知り合った時、元々田舎育ちでガサツな俺は、それを隠すのに必死だったんだ。
優美子は洗礼された都会のお嬢様で、しかも誰もが羨む程の美人。
そんな優美子を好きになって射止めるまで、気取った自分ばかり見せていた。
一生懸命背伸びをしていた俺は、いざ結婚して優美子を妻にした途端、腑抜けちまったんだ。
もう、安心だって、やっと息が抜けた。
本来のガサツな俺に、優美子が見えない所で少しずつ戻していったんだ。
仕事で成功して、見栄を張る様になって、一端の男になったつもりにもなっていた。
そもそも、根っからのお嬢様の優美子のレベルに合わせてスマートに生きようと思った事が間違いの始まりだったんだよ。
本来の俺を押し通していたら、こんな間違いはおきなかったのかもしれない………
気を抜いたら、屁をこく。
むず痒ければ鼻の穴に指を突っ込んで鼻くそだって穿る。
仕事で嫌な事があったら、酒でも飲みながら優美子に愚痴を言いながら慰めて欲しかった。
優美子にエッチな下着を着せて激しいセックスもしてみたかったな……
でも、出来なかった!
弱い自分や下品な自分を曝け出せなかった!!」
「夫婦なのに本当の姿すら偽らなきゃいけない程、格好つけるなんて………
そんなの哀し過ぎるじゃない!!」