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禁断の果実に口づけを
第19章 サヨナラの訳
「優美子のお父さんが融資を優遇してくれたからこそ、俺は会社を作る事が出来た。
俺の本当の実力で会社を作れた訳じゃない。
その負い目があったから必死になれたよ。
風間健という人間を認めさせたくてさ、頑張っている姿を見せて、俺の実力でビジネスを成り立たせたんだって言わせたかった。
そんなチンケなプライドを優先してきたんだ。
自分の会社を持って維持してゆく、起動にのせるってさ……
思った以上のプレッシャーを背負って、毎日仕事という戦に出掛ける様なもんだった。
ビクビクしている俺を見せる訳にはいかないだろう?
頂点を目指す、強い男を演じるしかなかった。
そんな自分にも疲れていたんだな。
弱さを曝け出す場所も欲しかった。
なのに、優美子の前では自分の本当の姿を偽ってしまうんだ。
その姿を見せる事に躊躇してしまうくらい、優美子には見えないバリアみたいなもんを感じた。
そんな自分を見せて、優美子に蔑まれたり、嫌われるのも怖かったんだよ。
優美子の言う通り、外でガス抜きして疚しさを作る事で、優しくなれた。
優美子に出来ない事を仕掛けて、従順に尽くす女を相手にする事で強くなれた気がした。
本当にクズだよな……俺は」