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禁断の果実に口づけを
第20章 道標
「健らしいわね。
女を口説く時は格好つけんのよねー」
「私は元々貧乏症だから、健さんが連れて行ってくれる所やご馳走してくれるものがただただ物珍しくて嬉しくて…
仕事にも協力して貰えて、段々成績も上がっていったんです。
そこから退かされたくない。
この場所に居たい。
それに、誰かに大事に扱って貰えたって久し振りの事だったから……。
健さんと男女の関係になったのは後悔してます。
今だからそう思うんじゃなくて、私の心がずっとストップを掛けていたのに……
それなのにいつの間にか歯止めを効かなくなっていたんです」
「気持ちは分かるわ。
女はお姫様になりたい生き物。
菓子パン食べて満足していたのに、高級フランス料理の味を覚えたら、また食べたくなるわよね」
「それもありましたけど、不倫の恋は息を潜める様に逢瀬を繰り返します。
安心して会える場所はラブホテルの空間になった。
疚しいから隠すのが当たり前なんですけどね…。
健さんを飽きさせない、リラックス出来る女に徹しました。
ただのセフレじゃなく、価値のある女だと思って欲しかった。
私は理解のある女なんだって!
あの人の奥さんや他の女とは違うんだって!
私の愛する人は亡くなった主人だけ。
そのはずだったのに……健さんに本気になったらダメっだって……分かっていたのに…」
健への正直な思いが留まる事なく、口から飛び出た瞬間だった。
「朋子さん!
それって、健を大好きって言ってる様なもんじゃない。
あぁ、女って本当に面倒臭い!
だからかな?
健があなたに夢中になっちゃったのは……」
「本当に面倒臭いですね…」