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禁断の果実に口づけを
第21章 カフェオレの追憶
「あっ、有難う御座います。適当に座って下さい」
キッチンの近くにある、ダイニングセットの椅子を洋子に勧めた。
洋子はファーストフード店の袋を開けて、朋子にカフェオレを渡した。
「私も自分の分のコーヒーも買ってきたから飲ませて頂くわね」
「はい。どうぞ」
「倉橋さんの車が駐車場にあった時、安心したのよ」
『それで近所のファーストフード店まで行って買ってきたのか…。
この女にしては気遣いあるじゃん』
「そうでしたか…。なら、遠慮なく頂きます」
カフェオレを受け取り、洋子の前に座った。
「倉橋さん……
先にこれからどうしたいのかを聞かせてくれるかな?
それによっては話す内容も違ってくるから」
「辞めますっていうか、どうせ解雇ですよね?」
「このままなら最悪は懲戒解雇です」
「懲戒ね…」
「何とか懲戒解雇は避けて、あなたの自主退職として話を進めていく方向で考えた方が、あなたの再就職先にも有利だと思って…。
落ち着いたら、風間様に掛け合ってみます。
ごめんなさい。今その名前を出す事もあなたには辛い事なのに」
「お気遣い有難う御座います」
朋子はぶっきらぼうに応えた。
『どうせ、会社の名誉を守りたいんでしょ!
所長の指示でやってきた使いぱしりなんだろうし…』