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禁断の果実に口づけを
第21章 カフェオレの追憶
洋子は一口コーヒーを飲み、また話始める。
「いろいろ考えてみたんだけど……
確かに倉橋さんの仕事のやり方は間違っているわ。
それでも……
私は体裁ばかり気にして、風間様と倉橋さんの間を取り持つ事が上手く出来なくて、本当に申し訳ありませんでした」
「あの場合仕方ないんじゃないですか?
庇いようもないですもんね?
私を貶して会社を守る方が先決ですよね!」
「そう取られても仕方ないですよね…」
「そう捉えましたが!」
「倉橋さんに嫌われても文句は言えないわね。
あっ、その前から嫌われていたのも自覚してます。
役職を任されたなら、私情を挟まずに冷静に判断出来る人間であるべきなのに、つい感情が先に出てしまってました。
人の心は映し鏡みたいですね。
嫌われる原因も自覚があります。
そう接してきた自分に跳ね返り、映し出された姿なのよね。
でも、綺麗事や優しさだけでは成り立たない。
人は心に左右されながら生きてます。
負の感情エネルギーは、周りまで不快にさせてゆくわ。
私は負の感情をばら撒いてきたから、仕方ないわね。
倉橋さんと話が出来て一先ず安心出来ました」
「タバコ吸いますね」
「あっ、どうぞ」
苛々が募りだした朋子はタバコに火をつけ、吸いながら深い溜息をついた。