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禁断の果実に口づけを
第22章 ブス可愛い
恋をすると切なさを背負いながらも、女である事を実感させられる。
叶わぬ想いを抱いても、恋心はその終わりが決定的な結末を迎えるまで続いてゆくのかもしれない。
『会いたい』と思う気持ちに胸焦がし、その気持ちに正直になってゆく。
その為の手段を色々と考えてしまう。
今、伸介の顔を一目でも見て、心を穏やかにし、新しい年を迎えられたら……
そんな気持ちが洋子の心を駆け巡る。
きっかけを探した。
携帯電話を手に取り、伸介の連絡先を出す。
ドキドキが加速する。
指でタップし、電話を掛けた。
呼び出し音が耳に響く。
五コール目、六コール目とその数を数えた。
十コール鳴らして出なかったら諦めようと決めていた。
九コール目………
「はい」
ぶっきらぼうな声。
機械音なども遠くで鳴り響いていて騒々しい。
「仕事中?」
「あぁ」
「オイル交換って出来る?」
「あぁ」
「お願い出来る?」
「今からすぐ来い。
午後は休みに入る」
「分かったわ。
お願いね」
【ツゥーツゥーツゥー】
もう電話が切れてる。
らしいね……本当、伸介らしい。
洋子は伸介の職場に車を走らせた。