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禁断の果実に口づけを
第22章 ブス可愛い
アクセルを踏むと快適に走り出した。
燃費の良さで選んだ愛車のプリウス。
営業を仕事にするとそんな理由で車を選んでしまう。
ただ、目的地まで運んでくれる足代わりにしか思ってなかった車。
伸介に整備して貰うと愛着が湧く。
「どうよ?いい走りになったべ?」
助手席でドヤ顔の伸介。
「えぇ、有難う。
軽くなった感じ」
「いい車乗ってんだからよー
可愛がってやれよ。
お前の分身くらいよ。
そうすると、機械だって喜ぶのさ」
「本当ね…」
この男は時折、忘れかけていた道徳心を思い出させる様な事を言う。
分かりにくい奴だけど、悪い奴ではない。
私の心はある日気づかぬうちにこの男に鷲掴みにされた。
そして、そんな自分ごと見つめ直し、好きになっていった。
「腹減った。
がっつり肉食いてぇー」
そう言って、映画に向かう途中、ステーキハウスに寄り、ステーキセットを目の前でペロリと食べる男。
お腹がいっぱいでサラダバーしか頼まない私に「洋子ダイエットか?いい事教えてやるな。ドレッシングは太るんだよ!」と憎まれ口を言いながら笑う。
そんな男を好きになった。