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禁断の果実に口づけを
第23章 本物のQUEEN
「……そうする事で風間や自分を許そうって思った。
やっぱり嫌いにはなれなかったわ。風間の事」
「健にその気持ちは十分伝わってるわよ。
それに、元々は健が優美子さんに夢中になったんじゃない!」
「そうだったのかな?」
「そうよ。優美子さんの勤めていた銀行に通いつめていたわね。窓口で五千円ずつ貯金したのよね」
「あぁ……確かにそうだったわね。
今みたいにATMが有り触れてなかったものね。
だから、それがきっかけになった」
「健は見栄っ張りよね。
銀行に預けたお金は下ろせなくて、足りなくなるとカップラーメンばかり食べて、私に貸してくれなんて言うのよ。
それになかなか優美子さんを口説けなくてさ!
何だかんだ言っても、優美子さんが好きで好きで堪らなかったのよ!」
「私も風間のそんなところに惹かれたのかも?
毎日貯金していく風間が気になって、ある日聞いたの。
毎日決まった額を預けるんですねって。
そしたら、稼いだ金の一部は将来の投資。
財布に入れとくとなくなるし、それに……あなたに会う為ですって照れながら笑って言うのよ。
私ね、この人を好きになるって思った。
心のどこかで辞めときなさいという声も聞こえたわ。
でも、気持ちって生き物だから、恋が芽生えたら成長してしまうのよね。
好きがいっぱいになって止められなくなった」
「気持ちは生き物か……。
恋の種を植え付けられてしまったのね」
「そうねー 私はつくづく男運ないのね…」
健との想い出を話す優美子は笑っていた。
迷いや悩みを解き放ち、透明感のある可愛い女の笑顔。
それが本来の優美子の姿なのであろう。
真雪はそんな優美子を見て温かい気持ちになった。