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第23章 本物のQUEEN

　「優美子さんには同情するわ。
でも、健らしくヤンチャな人生のままで幕を閉じれた。
そんなとこも憎めないわね」

　「そうね。
それに不思議なのよ。
風間が亡くなってからね、私は何かに取り憑かれた様に急かされた。
このままにしておいたらいけないって気持ちに動かされていったの。
思い余って、父に相談したら……
今回、裏帳簿まで出てきました。
なんだかね、風間に後の事を託された様な気がしたわ」

　「きっとそうよ。
健が気を揉んで優美子さんに信号を送っていたのよ」

　「そうなのかもしれないわね」

　「ねぇ、真雪さん。輝の事なんですが……」

　「あっ！輝君はどうしてるの？」

　「やっぱりショックを受けてます。
それと、私と風間が不仲だったのは気づいていたんです。
私達のだらしない姿にもあの子は気づいていたはずです。
風間には留学をしたいと言ったそうですが、『目標や目的のない留学は認めない。俺を反面教師にして生きろ』というのが、あの人が輝に遺した最期の言葉でした」

　「親も人間だわ。
間違いを犯して改めてゆくもんじゃないかしら？
いけない事はちゃんと示してあげて、後は自分で考えてゆく事も大事よ。
子供の居ない私には親の苦しみは分からないけど、性同一性障害の私を育てた親の苦しみや辛さは痛い程分かる」


　「………真雪さん……」