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禁断の果実に口づけを
第24章 こゝろに凪を
明日からは通常通りの仕事が始まる。
仕事が始まるギリギリまで実家で過ごしたのは、伸介とは年始に初詣デートが出来る間柄でもない。
家に居たら、携帯の前で期待してしまう自分が予想出来た。
セーブ出来なくなり、きっかけを作り、会いたい気持ちを抑えられずに猪突猛進の如く突っ走り、玉砕してしまいそうで怖かった。
恋する時間を自分からは壊したくなかった。
自宅に戻れば、いつもの秋山洋子に戻る。
朋子に連絡を入れて、この先はどうするのかを聞いておかなければならない。
今はそっちを優先せざる得ない。
仕事始めに出勤をすれば、間違いなく脅威の目に晒される事だろう……
風間優美子も当分は落ち着かないだろうし、ご主人が帰らぬ人となった今、どんな言葉を掛けて良いのかも悩んだ。
穏便には行かないだろうと最悪の事態も頭を過っていた。
自分ならを想定してみれば、朋子は許せない相手である。
しかも、朋子が仕事でしてしまったタブーは社内に広がっている。
最悪はどう考えても、懲戒処分になるだろう。
そんな事を考慮して、朋子のこれからを洋子なりに考えていた。
自宅のマンションに戻り、荷物の後片付けをしながら、どう告げようか携帯を眺めながら言葉を考えていた。
タップすれば、すぐに電話が掛かる。
あれこれ考えても仕方ない。
勇気を出して、朋子に電話を掛けた。
呼び出し音が鳴り、出てくれるのを待った。
五コール目で、「はい。もしもし」と言う朋子の声が聞こえる。
「もしもし倉橋さん」
明けましておめでとう御座いますなんて言えない。
「秋山代理……
先日はご心配をお掛けしまして、申し訳ありませんでした」
電話の向こう側の幾分か落ち着きのある朋子の声に安心した。