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禁断の果実に口づけを
第25章 こゝろ次第
晴美が応接室に呼ばれ、席に着くと風間優美子との関係を話し始めた。
所長は穏やかな表情を作り、晴美に対応した。
「趣味で習っているイタリアン料理教室で、風間優美子さんとは知り合いました。
親切な人で、優しく料理のサポートなどして下さたりして、歳も近かったし、料理教室の後、お茶を飲んでプライベートなお話も出来るお友達になりました。
上品な方ですし、良いとこの奥様だとは思いました。
年末に……まさか朋ちゃん、あっ、いえ、倉橋さんのお客様の奥さんだって知って、私もびっくりしたんです。
私はリーダーを任されているのに何も知らなくて……
まさか風間さんの奥さんだったなんて……」
泣きながら話す晴美。
「風間様とは連絡は取られてるんですか?」
「はい。倉橋さんの事を謝るより、ご主人様のお悔やみを言う方が先でしたけど……
知らなかった事とはいえ、優美子さんには本当に申し訳なくて……」
「北原リーダー、済みませんが、倉橋や会社の力になって貰えませんか?」
所長は晴美に直々に頭を下げて頼む。
「お役に立てるかは自信ありませんが、やるだけの事はやってみます…」
と晴美は健気に言った。
「宜しくお願いします」
所長も洋子も頭を下げた。
穏便に事を運んで貰う為には頭だって下げる。
風間健の葬儀にも、所長、洋子、晴美の三人で出席する事となった。