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禁断の果実に口づけを
第25章 こゝろ次第
✾✾✾
年が明けてもなかなか自宅に帰ろうとしない娘を心配した。
空元気な娘をずっと見ていた母親が声を掛けた。
「朋子…。
仕事人間のあんたにしちゃ随分ゆっくりだね」
「年末ギリギリまで働いたし、有休も消化したいし、未来との時間も取ってあげたい」
「なんかあった?
今の朋子は佑樹さん(朋子の夫)が亡くなった時と同じ顔してる。
話して楽になるなら聞くけど……」
「お母さん…」
朋子は覚悟を決めて、母に真実を全て打ち明けた。
泣きながら、『辛くて苦しい』と声にした。
子供の様にワンワン泣きじゃくっていた。
そんな朋子に母は優しく言葉を掛ける。
「佑樹さんが亡くなった時、光昭(みつあき 朋子の弟)が大学に進学したばかりだった。
まだまだお金が掛かる時だったから、余裕がなかったね…。
あの時、朋子の力になってあげられなかったのが一番の後悔。
朋子一人に頑張らせてしまった。
弱音、吐けなかったのよね。
間違った恋愛に関しては、お母さんからは責めないね。
散々、他の人から責められて、自分も責めてきたんだろうから。
老後はね、お父さんとゆっくり過ごそうと思ったけど、もうひと頑張りするよ。
未来ちゃんの面倒は一緒にみてあげるから。
お父さんも孫と一緒に暮らしたら、生活に張りが出ると思うよ。
朋子は本当に好きな仕事を見つけなさい。
そして、二度と同じ事は繰り返さない事。
うちに帰っておいで」
「お母さん!お母さん!」
弱くなった自分の姿を曝け出し、声を上げて泣く朋子。