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禁断の果実に口づけを
第25章 こゝろ次第
優美子が営業所に訪れた後、所長の柿沼が支社で支社長と面談し、倉橋朋子の処分が決まった。
倉橋朋子の雇用期間は一月いっぱいで終了。
有休の消化を認め、引き継ぎをした上で自主的な退職として取り扱う事に決定した。
穏便な処分で済んだのも、この件に関して優美子が事実を黙認してくれたお陰なのかもしれない。
不名誉な失態で、会社の名に傷がつく様なスキャンダルはなかった事にしたいというのが本音なのだろう…。
洋子はその旨を朋子に連絡した。
倉橋朋子が営業所に現れたのは、一月もあともう少しで終わる頃だった。
もう、営業所内では朋子が退職処分になる事は、それを匂わせる空気で誰もが知っていた。
そんな中、好奇の目に晒されながらも、引き継ぎ業務をし、机の中の荷物を片付けた。
そんな朋子の片付けを伊織は手伝っていた。
「ごめんね。伊織ちゃんこんな事になって…
連絡も貰っていたのに返せなくて、本当にごめんなさい」
「いいえ。お気持ち分かりますから。
倉橋さんにはお世話になりました。
こちらこそ、有難う御座いました」
「私が声を掛けてきたお客様…
これからは伊織ちゃんにフォローしていって欲しいな。
正規のやり方で取ってきたお客様だから安心して。
私からお客様にも連絡いれておきます」
「……倉橋さんが居なくなっちゃうなら、私もいつまでもつか約束は出来ません」
「私が伊織ちゃんを仕事に誘っておいて、本当にごめんなさい。
無理しなくていいよ。
伊織ちゃん次第でいいから」
「……はい」
そんな時、晴美が出先から営業所に戻ってきた。
「あっ、間に合った~朋ちゃん!
大変だったわね。
私も急いで帰ってきたの。
ちゃんと最後のご挨拶したくて」
『女王様の失脚は見とかないとね!!』