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禁断の果実に口づけを
第27章 警告
「君達も、こんな事が起こってしまった責任が全くなかったという訳ではありませんね。
こんな事は言いたくありませんが、所員達が働く環境を整えてあげる本来の役割が出来てない。
だから、この様な最悪な事態にもなるんだろう?
この動画を送りつけてきた者を詮索するのも辞めてくれよ。
そんな事をしたら、今度はネットにこの動画をばら撒くそうだ。
それだけは避けたい。
こんな訴えをするという事がどういう事なのかを考えて、以後は謹んで頂きたい。
君達の異動も考えざる得ないね。
不満があったから、今回の事が起きてしまったようだから…」
支社長は私と所長に監督不行届きを問う。
そう言われてしまっても仕方ない。
「はい。申し訳ありませんでした」
洋子は潔く認めて頭を下げた。
「秋山代理は人に知識を配る方が向いているみたいだね。
君は新入社員の時から営業成績は優秀だったし、保険の知識にも詳しい。
人には向き不向きというものがある。
実際のところ、他からも君に対する指導の仕方に不満の声が上がっていた。
残念ながら、秋山代理は人を育てる仕事には不向きだったみたいだね」
「はい。自分でもそう思います。
この度の事、本当に申し訳ありませんでした」
「柿沼所長も、管理責任を問うところだよ。
話は以上だ。
詳しい事が決まり次第、追って連絡をする」
この先の自分を左右すべき非常に厳しい言葉が告げられた。
そんな時でも頭の片隅に伸介が居た。
処分次第では……
もう会えなくなってしまいそうな哀しい予感。
そっちの方が洋子の心に重くのしかかっていた。