この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
禁断の果実に口づけを
第28章 毒リンゴ
「本当に分かりやすいですよね。マジで伸ちゃんに恋したとかですか?少しばかり優しくされたらよろめいたとか?」
「……片岡さんには親切にして頂きました。
感謝してます」
「惚けなくていいですよ?
その翌日覚えてますか?
秋山代理、私にお礼言ったんですよ?
癒やされて満たされた女の顔をしてね。
何があったか予想出来ちゃいましたよ。
本当、分かりやすっ!」
「……川端さん、それを分かっていながらではないんですよね……」
いつかは触れなきゃいけない事を勇気を出して聞いてみた。
目の前の伊織は何もかもお見通しで挑発しているのだから。
「えっ!? 何それ? あーあー ヤダヤダ!
人の恋愛とかまで左右するって可能なんでしょうか?
それとも、私にはそんな魔法が使えるとでも言うんですか?
大体、その先の事は秋山代理と伸ちゃん次第で決めるもんでしょ。
そこまで私のせいにする気ですか?
何処まで自分が可愛いんですか?」
「……全くその通りね。川端さん。
心はその人のもの。
だから、心が決めるものですものね…」
「私は秋山代理が困っていたから、伸ちゃんを紹介した。
あくまでも、パンクの修理としてね。
その後、二人がどうなろうと私の知った事ですか?」
「感謝してます。本当にただ……」
「ただ?ただ何なんでしょ?
あっ、でも、秋山代理の変貌ぶりは面白かったですよ!
恋するとここまで人は変われる。
単純なんですね?」
川端伊織のまくし立てる様な言い分に反論の余地もない。
正論をキツイ口調で言い、小馬鹿にしているだけだ。
以前、私が彼女にそうしてきたように……
ずっと馬鹿にしてきた女は、どうやら私なんかよりもずっと頭の良い人間だったらしい……