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禁断の果実に口づけを
第28章 毒リンゴ
「本当に私も良い勉強になりましたよ。
これだけ、自分が可愛くて醜い姿を隠しながらも最後には曝け出すスキャンダラスな職場なんて早々ありませんものね?
ここを紹介して下さった倉橋さんに感謝かな?
もう居ないけど……
あの方も残念でしたね。
上手く人を利用して上にのし上がっていきたかったのに、結局はのし上がる手前にあった石ころにも気づけないなんて……
どうせ不倫するなら、もっと上手くやらないと。
ましてや、自分の身近にバレる程、有頂天になるから足元すくわれるんですよ。
気をつけないといけないとこだったのに本当に残念!」
「川端さん、私の事は何を言われても仕方ないですが、仮にも倉橋さんはあなたを可愛がっていた先輩じゃないですか?
どうしてそんな事言えるの?」
「秋山代理、今更善人ぶらないで下さいよ。
あの日、秋山代理だって相手の奥さんが乗り込んできた時、声を張り上げて倉橋さんを非難してましたよね?
自分の言っている事を正当化するのって筋違いじゃないですか?
それとも秋山代理は何を言っても許されるけど、私が言うのは間違ってるって事ですか?」
大人しくて弱々しい、美しさだけが取り柄で白雪姫と皮肉っていた川端伊織は素顔は、吐き出す言葉そのものが冷たく、ズタズタに突き刺してゆき、洋子の心をフリーズさせてゆく。