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禁断の果実に口づけを
第30章 ビターなあいつが恋しくて……
年が明けて、節分を通り越しバレンタイン期間に突入するのは早かった。
営業所員は、お近づき、契約に結び付けたい一心で、お客様に配るチョコレートを出入り業者から買っていた。
デパートやコンビニでも、ラッピングしたチョコレートが並ぶ時期。
お土産も渡せてない。
チョコレートなんてイメージのない伸介。
それでも、会うきっかけが欲しくなった。
自分が手作りチョコを作るなんて、想像したら笑えた。
似合わないシチュエーション……。
バレンタイン直前の休日の出来事。
いつものようにウダウダしながら、掃除と洗濯を済ませ、昼食を兼ねて買物に出掛けようとした時だった。
自分の住むマンションのインターフォン越しで小学校高学年くらいの女の子が何やら話していた。
でも、次の瞬間ガッカリした顔で俯き、バッグの中から赤い包みを出してポストの方に向かい歩いていった。
『あっ!
勇気を出して、好きな男の子にチョコをあげたかったのね…。
留守だったのか……。
残念!
可愛らしいチェックのスカート履いて、素足にハイソックス。
髪の毛はポニーテールに可愛くリボンで結んで。
いざ、勝負だったのにね……。
君の想いはいつか叶うよ!
素直な気持ちを伝えられる少女のままでいておくれ!
おばちゃんは玉砕が怖くてチョコを渡すのも躊躇する弱虫。
でも、好きな人にはちゃんと伝えないとね!』