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禁断の果実に口づけを
第33章 ピース
『その恋が今日の女優高瀬まひるさんの魅力を開花させたんですね』
恋は女を強くさせたり、弱くもさせますね。
今回の映画は、高瀬まひるの新たな転機だと思います。
哀しい女の性を花魁という形で表現してゆきます。
宜しくお願いします。
✾✾✾
恋より仕事か………。
強い女だわ。
なんだろうね。
立派な女性なのに、私は嫉妬している。
いい歳して、芸能人と自分を比べるなんてさ。
アレ?
何だか私、以前もこんな気持ちになった様な?
馬鹿ね。
女優と自分を比べたって、月とスッポンじゃない。
頭の中で激しく罵倒される声が聞こえた。
聞き覚えのある声………
『伸ちゃんにあなたなんか似合わない!月とスッポンよ!』
川端さん!!
彼女は段々エスカレートして、私を責めてゆく。
その声を聞いている私は居た堪れなくなる。
『………ヤメて!!お願い!!』
彼女は冷たい口調で私を蔑む。
手の中に大事に持っている袋が…………
【バタン】と小さな破壊音を立てて落ちた。
『………お願い。もう…………ヤメて!!…………』
洋子の瞳に涙が溢れた。