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禁断の果実に口づけを
第33章 ピース
記憶の中にぼんやりと浮かぶ、絶対に忘れてはいけないキーワードの様な感じもした。
お父さんに手を引かれて病室を出て行く少女。
健気であり、そっと応援したくなる気持ち。
長い髪をキュッとポニーテールにし、可愛いリボンで結ぶ。
赤いチェックの短めスカートにハイソックスを履いたお洒落な女の子……。
………確か……何処かで見たような気がする???
何処!?
✾✾✾
少ししてから、夕食が配膳された。
夜は長いのに、早い時間に夕食になるので就寝までにお腹が空いてしまう。
今日のメニューは、カレイの煮付け、ほうれん草のおひたし、厚焼き卵二切れ、豆腐とわかめのお味噌、ひじきの煮物。
栄養バランスは良さそうだし、THE和食という感じで嬉しいメニューでもあるが物足りない。
安田さんから貰ったティラミスもあるし、夕食後に売店に行ってホットコーヒーでも買おう。
今日はデザートがあるから豪勢だわ。
入院生活の楽しみって、食べる事よね。
お見舞いがない日は長く感じるし……
退屈なんだよね。
カレイの煮付けを箸でつっきながら、そんな事を考えていると、何故か片岡伸介の顔が浮かんだ。
何で?が頭の中をいっぱいにしながらも、つい考えてしまう。
有り得ないと思う事は現実なのかもしれない?