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禁断の果実に口づけを
第33章 ピース
夕食後、松葉杖をついて売店に買物へ行った。
だいぶ松葉杖で歩く事に慣れてきた。
日常の生活には少し不便がある程度までの回復は出来た。
『仕事の復帰もまだ無理かもな。
あの仕事は体力勝負で鉄の心臓じゃないともたないよね……。
毎日、頭の中に売上という数字が付き纏う。
ノルマを達成出来ないと、休みはあってないようなものだもの。
こうしてゆっくり静養が出来るのは、ある意味幸せよね。
退屈なんて言葉が口から出ちゃうもの』
エレベーターで一階にある売店まで降りた。
松葉杖で売店目指して歩いていると、「あっ…秋山代理……」と不意に後ろから声を掛けられた。
洋子が声の方向に振り向くと、後ろに居た婦人は頭を下げた。
「ご無沙汰しております……」
「はぁ。あの……私………」
自分の事を秋山代理と呼ぶ人物は、自分の知らない時間を知っていて、仕事で関わった人間に間違いはなかった。
洋子はその婦人に現状を話すと、かなり驚いた顔をした。
成り行き上、売店の近くにある待合のソファに腰掛け、話をする事にした。