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禁断の果実に口づけを
第35章 禁断の果実
車は首都高を抜け、東北自動車道に入る。
浦和インターチェンジを越え、暫く走ってゆくと緑の景色が広がる。
自然の色が目に優しく映り、疲れた心や体にも癒やしを与えてくれる。
都会から離れていく解放感が一時的にそうしてくれるのであろう。
車のフロントから見える、緑に覆われた山々の姿は、これから迎える私達の休暇を両手を広げて出迎えてくれてる様にすら見えた。
そう。あなたは、『ギブスが取れたらデートでもするか』って、言ってくれたでしょう。
ギブスが取れて、気持ちを一つ一つ整理して、ドキドキしながら連絡したの。
あなたは、電話の向こうで笑った。
ワハハハって大きな声でね。
それから………
『温泉にでも行くか?』って言ってくれたわね。
あなたと約束があったから、私は心に潤いを持たせ、その日を待った。
うううん。待っていた。