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禁断の果実に口づけを
第35章 禁断の果実


 お昼を取ると、ほんの少し眠気がさす。
でもそんな事は言ってはいけない。
眠気と戦いながら、山沿いの道をひたすら運転する伸介が隣に居た。
高速からは遠くに見ていた緑が目の前を駆け巡っていく。
窓を開ければ、近くを流れる川のせせらぎが聞こえてきそうだ。

 しあわせ

 単純かもしれないが、そう思ってしまう。
今までの辛さ、哀しみ、苦しみ、悔しさなど、抱えてきた負の感情すらも優しく洗い流していくかのように……


 「何、ニヤけてんだよ?」

 「た、楽しみだな……宿」

 「エッチだな」

 「な、なんでよ!」

 「久しぶりだから、濡れてんじゃね?」

 「…………そんな事…………ある」

 伸介は豪快に笑った。

 「あ~ヤベえ!!
あんまりにも素直にズブ濡れ宣言されたら、可笑しくて堪んねー」

 「ズブ濡れじゃないわよ!ほんの………少しだけ」

 「面白く仕上がったよな。洋子は!
部屋に露天風呂がついてるんだとよ。
一緒に入りたいか?」

 「はい……りたい……せっかくだし……」

 そんな私をあなたはクスっと笑う。

 「なんだ?なんだ?その焦らしたモノのいい方は!?
………もうすぐ着くからな、洋子。
川のせせらぎ聞きながらエッチな気分になるのもいいんじゃね?」

 

 『そうだね。
馬鹿正直になって、セックスしたら気持ちいいよね。断然さ!!』
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