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第35章 禁断の果実

　伸介の記入が終ると、奥から着物を着た気品のある女性がやって来て、「ようこそ、おいでくださいました」と深々と頭を下げた。

　互いに挨拶を交わす。

　「こんな山奥ですが、今日はお天気にも恵まれましたし、川辺を散歩されますと蛍に会えるかもしれませんね」

　「へぇー　もう蛍が飛んでるんですね」

　「はい。
夕飯の後にお散歩されてはいかがでしょう？
色浴衣をご婦人には無料でお貸ししておりますので、気に入った柄のものを選んで着て頂いて、初夏を楽しんで下さいまし」


　「……はい」

　伸介と蛍見物かぁ……
出来たらいいな。
ロマンティック過ぎるよね。