この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
禁断の果実に口づけを
第6章 洋子の変貌
いつもと変わらない朝に過ぎないのに、洋子にとっては特別な朝だった。
営業所に出勤する。
洋子の顔を見れば、「お早う御座います」の当たり前の挨拶が返ってくる。
昨日、洋子を助けようともしなかった輩も平気な顔をして、
『昨日は大変だったみたいですね』とわざわざ知らない振りをして同情してくる奴も居た。
平然とした顔を作る洋子。
警察沙汰にはしないであげるわよ!
誰がタイヤに細工したのか?
分からないまんまも悔しいけど、その悪戯に至る経緯を話されたら、私自身の評価も下がるかもしれない。
イヤな上司と陰口を叩かれていても、仕事仲間を売る事だけは辞ようと思った。
席に座ると洋子は川端伊織を呼びつけた。
一瞬、ピクッと背中が動く川端。
綺麗に化粧をして、可愛らしいスーツを着こなしている。
いつも、川端のつけてる口紅の色も気にくわない。
色白の彼女が赤みのあるグロスをつけると、白雪姫の様なイメージになる。
毒リンゴを渡したくなってしまう程、苛めたくなる気持ちを抑えた。
「きっ、昨日は有難う御座いました。
お陰で助かりました」
この子にお礼を言わなきゃいけないなんてね‥‥
慣れない事すると声も上ずるわ。