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禁断の果実に口づけを
第36章 恋が教えてくれたこと
それからの時間は、パワースポットとしても有名な観音様をお詣りしたり、観光名所にもなっている滝を見ながら、心地良いマイナスイオンを浴びたりと、普通のカップルが旅行に行けば、観光するであろう場所などを巡った。
明るい場所では、繋いで欲しい手も素直に出せない。
これが伸介と私の本当の距離なのだと実感した。
少し汗ばみ喉が乾いたりすると、土産売り場の店先の樽の中で冷えたラムネを飲んだり、鮎の塩焼き食べたりした。
夏の自然を思い切り満喫し、笑顔をたさないよう心掛けた。
何気なく、売り場の中を見ていたら、こけしが並んでいた。
「あっ!昔の洋子発見!
記念に買ってやるよ!」
と言いながら、さっさとレジに持ってゆく。
会計が終わり包んで貰ったこけしを私に渡すと、「くれぐれもアソコに使うなよ?」と笑った。
下品ね。らしいけど。
「使わないわよ!」
少しムッとして応えると、「REDな夜があるからな!見つかったか?」とからかった。
「えっ!?」
と惚けてみたけど……
寂しい時の大事な相棒さんですからね。
それに、あなたとの思い出のものは、そう簡単に捨てられないでしょ。
「記憶無くしたお前にREDの夜なんて試すなよって言ったら、まともに『ハァ?』みたいな顔された時は寂しかったな。
洋子は洋子なのに、抜け殻みたいに感じてさー
ここまで回復してくれて、マジで嬉しかったよ」
「伸介……」