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禁断の果実に口づけを
第36章 恋が教えてくれたこと
 
 車に戻って、帰り道に向かって運転する伸介。
私は彼の横顔を見ていた。

 多分ーー
沈黙になりがちなのは、言わなくてはいけない言葉を二人共考えていたから。

 ならさ、私が最期に潔い女を魅せないとね……


 「楽しかったなー 旅行!
これで、心置きなく千葉に転勤出来るわ。
都会から離れるのもいいかもね。
自然がいっぱいでさ。
転勤先調べたらね、有名な神社があったり、夏には祇園祭があるんだって。
昔は商人の町で栄えていたらしいし、情緒ある街みたいよ。
通えないから、引っ越す事にしたの。
家賃も安くてびっくり。
あっ、でもね、マンションじゃないんだ。
普通のコーポなんだよ。
それでも広いの。
3LDKですって!
不便もないのよ。
歩いてコンビニ行けるし、大型スーパーもある。
まぁ、さすがに大きなデパートはないけどさ。
ゆっくり穏やかに過ごしてゆけそうよ。
だから、あっちに行っちゃう前に息抜き出来て良かった。
有難う。
伸介」


 ねぇ、ちゃんと明るく言えた?
サッパリと後味悪くない言い方してた?
少しはいい女で終われそう?
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