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禁断の果実に口づけを
第36章 恋が教えてくれたこと
店の中を見渡したが、残念ながら紫陽花柄の浴衣がない。
その代わり、満月を見ながら駆け回る兎の浴衣が目に止まる。
その浴衣の前で立ち止まると、「似合いそうだな。今度引っ越す場所、夏祭りあるんだろ?それに着て行けよ。
その前に俺に見せろ!」
そう言って、店員を呼び、着て帰るから着つけてくれとお願いした。
「それに合う帯や下駄も探してくれ、一式頂くよ」と申し付けた。
戸惑う私に、「素敵な旦那様ですね」と年配で品のある店員が伸介を褒めた。
否定しないあなたも優しい。
お世辞でも、夫婦に見えるって悪くないね。
また、素敵な想い出が増えて胸がいっぱいになる。
泣いたらダメと自分に言い聞かせ、残された時間を笑顔で愉しく過ごすと決めた。
そう決めたのだから!