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禁断の果実に口づけを
第36章 恋が教えてくれたこと
食事が終わって車に戻る。
辺りは暗くなり、夜を迎えていた。
別れの時間が刻々と迫る。
ハンドルを握るあなたは私を家まで送り届けてくれた。
昨日の朝、迎えに来てくれたマンションの前に車は停まる。
「そんな顔すんな!」
あなたは私の髪をクシャッと優しく撫でる。
ポンポンと軽く叩き、優しい顔で私の顔を覗き込む。
「……ごめん。
やっぱり、覚悟していても辛くなっちゃった」
私は顔を上げて、出来るだけ明るく戯けた声で言った。
「お前には俺なんかより……」
先に続く言葉を打ち消す様にあなたの唇をキスで塞いだ。
あなたの唇の温度が伝わり、我慢していた涙がジワッと溢れてしまう。
「……大丈夫!!
どう生きていくか考えるのも愉しまないと」
唇を離した時、精一杯の強がりが口から飛び出した。