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禁断の果実に口づけを
第38章 素
大当たりの確変が続き、玉を五箱積んで更に機嫌の良い洋子。
「洋子さん、ビギナーシリーズラックおめでとう。
パチンコは気晴らしくらいが丁度いいよ。
負けを取り戻そうと欲を出すと、嵌って大損する事もあるからギャンブルは怖いの。
見極めも大事!」
「ですよね。
私、負けず嫌いなとこあるから要注意かも」
「あぶない、あぶない」
換金したら、倍の一万円以上になり、洋子はまたはしゃいだ。
「勝てて良かったですね!
負けたら、僕恨まれちゃったかな?」
「えっ、そんな事ないですよ!」
「いやいや、当たりが来るまで洋子さんの顔……
怖かったですよ?」
「あっ、あ、もう、ヤダ!青田さん」
その日は、洋子が勝ち分で青田に夕食をご馳走する。
『いいよ』と遠慮する青田は、洋子と出掛けた時は必ずご馳走してくれていた。
「勝ち分で美味しいものを食べるだけですよ!
パチンコを教えて下さった授業料と青田さん負けちゃったし……」
「なら、遠慮なく」とクシャッとした笑顔を見せる青田。
二人で、90分食べ放題の焼き肉を食べた。
好きな肉を持って来て焼くバイキング形式。
勝った喜びを噛み締めて、カルビを焼く洋子。
青田と居ると素の自分で居られた。
青田と過ごす休日は洋子に充実や癒やしを与え、気持ちも朗らかになった。