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禁断の果実に口づけを
第38章 素
一瞬、時が止まってしまったかの様に周りの音も遮断され、青田と手を繋いだまま身動きが取れない。
動揺を上手く隠せるほど、器用に生きてない。
青田が自分を好意的に思ってくれているのは、何となく気づいてはいたが、気づかない振りをした。
ちゃんとした言葉もなく、勘違いもしたくはなかった。
青田とは、友達というポジションでいる事で、愉しみを見出し、穏やかな気持ちで日々を送り、欲を持ってはいけないとブレーキをかけていた。
傷つくのが怖いという、気持ちの現れでもあった。
「迷惑でしたか?」
繋いだ手を離さぬまま、青田は洋子に問い掛けた。
ワッショイ!ワッショイ!ワッショイ!ワッショイ!ワッショイ!ワッショイ!ワッショイ!ワッショイ!ワッショイ!ワッショイ!ワッショイ!ワッショイ!ワッショイ!ワッショイ!ワッショイ!…………………
熱気に満ちた祭りの掛け声が、二人の行方を見守る。
「……迷惑だなんて……そんな……でも、とても驚いてます」
「最初からあなたにプロポーズするつもりで今日は誘いました。
僕ね、手に入れたいものには激しい攻めを繰り広げちゃうんだ。
気づかなかった?」
「……気づかなかったと言ったら、嘘になります。
だって、オセロの攻め方がそうじゃないですか……。
戦略的で、あっという間に石を綺麗に裏返しにしてゆく。
青田さんらしい攻め方で、負けても仕方ないと思うくらい、見事な戦法です。
奇跡でも起きない限り、勝てないと思います」
「あはははは
でもさ、恋愛も結婚もオセロの様にはいかない。
ましてや、ゲーム感覚でするもんではない。
人生を一緒に愉しみたい相手には本気にもなりますよ」