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禁断の果実に口づけを
第39章 愛

 「焦らないで待ちますから」
そう言って目の前で笑うあなたに安心出来た。

 人それぞれ、恋愛観も結婚観も違う。
出会いがあって、恋が始まる。
でも、未来が見えない恋は心を寂しくさせていく。
いつも、諦めや遠慮が付き纏った。

 自分らしさがどこか欠けてゆくのだ。

 相手の気持ちが見えない恋は、常に不安の雲に心が覆われる。
晴れの日が来る事を願いながら、ひたすら待ち続けてしまう。

 いずれ終わってしまう恋も、その時が来るまで僅かばかりの可能性に賭けて盛り上がるかもしれないがーー奇跡を信じて、最期の最期を自分で見届けない限り、その場所を動けなくなってしまう。


 伸介との恋はサヨナラの時が来るまで、それを悟る日まで全うしたいと思った。
その恋に生きる自分に酔えた。
純粋な気持ちを貫いたあの頃が懐しく思えるほどに………




 「ちゃんと考えます。
青田さんとのこと」

 「うんうん。
僕は待っているから。
洋子さんが後悔しない答えを出して」

 「はい」

 「さて、十分涼みましたし、夜祭り見物に戻りますか!
今日は祭りの最終日だから、盛り上がりますよ」


 「はい。是非、見たいです」

 『あなたと』

 「参りましょうか?」 

 「はい」

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