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禁断の果実に口づけを
第41章 洋子
洋子はプロポーズを受け、お盆休みに卯月と一緒に挨拶を兼ねて帰った。
喜んでくれるとばかり思っていたが、父は浮かない顔を見せる。
父は卯月を誘い、近所の居酒屋に連れ出した。
心配になり、洋子が母に尋ねると……
「洋子の結婚を喜ばないわけないでしょ。
卯月さんもいい人みたいだし。
ただね、奥様と死別だったのよね?
死んだ人間はいつまでも、その人の心に残る。
仕方ない事だけど、その事で洋子に哀しい思いはさせないで欲しいって、お父さん、卯月さんにお願いするんじゃないかしら」
「………お父さんが」
「お母さんは、それでも洋子が幸せになれるならいいと思う。
あなたも訳ありのバツ一。
卯月さんにも事情があれば、あなたにもある。
それを知っていながらの結婚なら覚悟もあるはずでしょ。
もう、そういう事も全部引っくるめて考えなきゃいけない歳。
ねっ、洋子」
父と母の想いを知る。
「覚悟は出来てる。
私も穏やかな老後を考える歳になったわ。
だから、卯月さんを選んだの」
「そう。なら泣いて実家に帰るのは禁止!」
母は笑った。
子供が出来ない体と打ち明けた時、私は父と母を泣かせた。
最初の結婚の失敗を受け入れてくれた。
二度目の失敗はなしだね。