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禁断の果実に口づけを
第41章 洋子
お盆の休みが終わる前に、卯月の娘、満月にも会った。
大手空港会社のCAの満月。
気品のある美人顔で、口角をキュッと上げて笑う表情は卯月に良く似ていた。
卯月と亡くなった奥様満喜子さんの愛娘。
夫婦仲も良かったのね。
二人の名前を一字ずつ取って、満月と書いてみつきか……。
初めて会った卯月さん自慢の娘は人懐こい笑顔を見せる。
「こちらこそ、父を宜しくお願いします。
オセロオタクで気の利いた事が出来ない人ですけど、優しくて真面目で仕事熱心な父です。
ほら、パパからもちゃんと洋子さんにお願いするのよ。
パパも私が予約しといたから良かったけど、たまにはこんなお店で品のあるデートしないと嫌われちゃうから」
都内の有名フランス料理店で挨拶を交わし、結婚の報告をした。
スモークサーモンとアボガドの前菜を上品に口に運ぶ満月。
社交的な彼女は愛想も良く、会った瞬間の女同士の敵意みたいなものを覚悟していた洋子は拍子抜けする程だった。
「心配していたんだ。
だって、仕事で海外飛び回っているから、万が一パパに何かあった時、直には駆け付けられないでしょ。
洋子さんみたいな人が出来て良かったー」
「満月さんにそう言って貰えて嬉しいです」
「あっ、もう、洋子さん、気を遣わないで下さい。
パパの再婚に賛成してます。
私とも仲良くして下さいね。
それにパパ……私ももうすぐ結婚するんだよ。
パパの方が最初に打ち明けてくるからさ……中々言い出せなくて……」
「本当か!?満月」
「反対はなしよ。
パパみたいな人だから大丈夫!
今度会ってね!
今、ロサンゼルスに赴任中なの」