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禁断の果実に口づけを
第41章 洋子

 秋麗の喉、一年の交際を経て、洋子、四十一歳の誕生日を迎えたその日、青田卯月と式を挙げ、妻となった。

 家族や職場の仲間達からも祝福され、この土地の有名な神社の神前で白無垢姿の洋子と羽織袴姿の卯月は永遠の愛を誓う。
 
 幸せの笑みが沢山溢れた素敵な一日となる。



✾✾✾


 それから、三年の月日はあっという間に流れ、卯月の一人娘の満月も結婚して母親になった。
二卵性の双子の男の子と女の子。
長男は結と書いて(ゆい)長女は心(こころ)


 今日は、双子達の三ヶ月検診を受ける為、病院に付き添っていた。



 「お母さんごめんね。
検診なんて付き合わせて」

 「あらいいのよ。
双子ちゃんだもの。
一人じゃ無理よ」

 「助かります」



 病院の待ち合い室で、満月と子供達をあやしながら順番を待つ。

 洋子の腕の中で眠る心はスヤスヤと可愛い寝顔を見せていた。


 満月の夫は商社勤めで海外出張も多い。
結婚退職をして、子育て奮闘中の満月は、心細さからか父と洋子の暮らす家の近くに住み、何かと甘える様になった。

 子供が出来てからは、満月は洋子の事をお母さんと呼んだ。

 洋子と満月の年の差は約十五。
姉妹の様に仲良し親子の二人。


 「ここちゃん(心)はぐっすりね」

 腕の中の心の髪を撫でて、優しい笑顔で見つめる洋子。



✾✾✾


 可愛くて仕方ないわ。

 生きていると、何があるか分からないもんね。

 知らない人は、私と満月を仲良しの本当の親子だと思うかしら?

 血の繋がりなんて関係ない。

 孫という存在が、家族の絆を更に深めてくれた。 

 本当に素敵な巡り会せ。

 子供が出来ないと自分を責めて泣いた日々を覆してくれた。

 諦めて手に入る幸せもある。

 有難う。人生。




 

 
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