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禁断の果実に口づけを
第9章 デキる女ー倉橋朋子の秘密


 そんな幼かった娘も、来年小学校に入学する。
朋子も夫を亡くして、三年の月日が流れ、三十二歳になっていた。
若過ぎる未亡人の朋子。
仕事をする事で娘との生活を守ってきた。
夫の事故で手元に入った保険金にはなるべく手をつけず、娘の将来の為に貯金した。

 こうして、健の愛人となり、女としての潤いも得ながら、健自身や会社の社員達の保険などの勧誘により、トップの成績を維持も出来ていた。

 風間健は朋子の仕事上の太いパイプ。
機嫌を損ねるわけにもいかない。

 今の自分の立場を守っていく、生きる術でもある健。

 亡くなった夫や娘には申し訳ない気持ちで胸が痛む。

 だけど、そんな事を気にて生きる余裕なんてなかった。

 何をするにも、金、金、金の世の中で、夫を亡くした朋子が生きてく為には、必死にもがき、選んだ道でもあった。

 トップでいられるのは、枕営業のお陰などと、事実がバレれば、蔑む人間も居るだろう……
そんな人間は、幸せな環境で生きているから、他人の事までとやかく興味本位で考え無しで無責任な言葉を投げれるんだ。


 『金持ちを利用して何が悪い。
そういう風にしか生きれない人間も、必死で守りたいものがあるからこそ、自分を偽りながらもがむしゃらに戦いに挑んでゆけるのよ!』


 健さんもそう生きてきたからこそ、私とは馬が合う。

 ジャグジーに浸かりながら、朋子の身体を触り、はしゃぐ健を見ながら、ぼんやりとそんな思いを巡らせていた。
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