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禁断の果実に口づけを
第9章 デキる女ー倉橋朋子の秘密
「ねぇ、健さん」
「う?」
「賢い資産運用のお話しましょうか?」
「どんな?」
「今、銀行に預貯金をしていて、利子は期待出来る?」
「いや、利子なんて期待してないさ」
「安全の為にだけ預けているのよね?」
「まぁね、それと信用だな」
「でも、銀行に全部資産を預けていたら、健さんに万が一の事があったら、凍結してしまうのは知ってるよね?」
「うん、そうだな」
「万が一の事なんて考えたくないけど、万が一に備える知恵は大事よ。
現に、私は事故で夫を突然失ったわ。
一番必要な時に現金がないのは、本当に心細いもんよ。
保険会社に資産を預けるのは、賢い人間なら考えるわ。
利子も銀行よりいいし、万が一の時、凍結せずに家族にお金を渡せるんだもの。
相続人云々の難しい話もないわ。
息子さんいくつだっけ?」
「今、十六だ。
高一」
「まだまだ、あなたの会社を継ぐまで時間があるわね。
万が一の時、あなたの会社の経営が傾く事なく、維持してゆくには、やっぱりお金よね…
そんな時に一番必要なのは現金じゃないかしら?
直ぐに引き出せるのは保険なのよ。
健さんの万が一なんて考えたくないけど、そんな時に頼りになるのは、銀行より保険会社なのよ。
息子さんが継ぐ日まで、大事に眠らせておけば利子もついてる。
あなたのお金なんだから、利子はあなたのお小遣いにもなるでしょ!
ある程度の年数を預けておくだけで、利子もいいし、必要な時は勿論下ろせるわ。
ねぇ、このプランは魅力じゃないかしら?」
「そうだね…考えておくよ」
「考えておいて!
私はあなたを愛していても、そういう事でしか力になれないわ。
これでも弁えているのよ。
あなたに損はさせないわ。
銀行より良い利率であなたの資産を運用出来る」
「朋子の提案に乗るのも悪くないな」
『そうよ。
あなたの奥さんと一緒にしないで!
あなたと私が得する道は、こういう関係でも維持していけるのよ』