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禁断の果実に口づけを
第9章 デキる女ー倉橋朋子の秘密
 

 健との時間が許す限りのデートは、ラブホで会って、セックスして終わるのがお決まりのコース。

 食事が終われば、帰り支度をしながら一緒にシャワーを浴びて、少し戯れの時を過し、それぞれの場所に帰ってゆく。


 部屋で別れ際のキスを交わす。


 「健さん、今日は有難う。
楽しくて刺激的だったわ。
あんなに高価なプレゼントまで…
嬉しいわ。
男の人にジュエリーを貰うなんてさ…
私には特別なんだよ」

 朋子の言葉に嘘偽りはない。
そんな朋子の姿が瞳に映ると、余計に愛しさを感じてしまう健。
健にとっては、女にジュエリーをプレゼントする事は深い意味はない。
が、特別な女にしかプレゼントしないのも事実だ。

 「気に入ってくれたなら、プレゼントした甲斐がある」
そんな風に格好つけたくもなった。


 「私からもプレゼントあるのよ」

 朋子はバッグからラッピングしたプレゼントを健に渡す。


 「ネクタイよ。
今日のアリバイにでもして!
ゴルフコンペの景品とでも言えばいいわ」

 ラッピングを開けてみると、有名ブランドの青いネクタイだった。

 「あっ、有難う」

 「少し早いけどメリークリスマス。
一緒に過ごせないのは分ってる。
それに健さんを縛る気はないわ。
あなたは回遊魚。
自由に泳ぎ回るのが似合う」

 クスッと笑う朋子を抱き寄せて、ギュッと熱い抱擁を交わす。
健の首に手を回し、別れを惜しむ女となる。

 『あなたは回遊魚、水槽の枠の中でしか自由に泳げない』
言えない言葉は心で呟く。
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