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陽炎ーもうひとつの物語ー
第3章 三人
「なんだ、こりゃ。」
八尋は顔を背け、目を逸らした。
「誰に付けられた?お前、この間のヤマの情報、どうやって仕入れた?下働きの女共の噂話にしちゃ詳しいし確かだと思ったんだ!俺は、こんなことまでしてお前に情報取れなんて言った覚えはねぇ!二度とするな!」
八尋は逸らしたままの目の下に朱を走らせ。
「私が、好きでやっていることです…」
と呟いた。
やおら俺に向き直ると、挑戦的な眼差しを向けてくる。
「頭領も鷺も、廓に行かれるでしょう?私の寂しさは誰が満たしてくれるのですか?
確かに私は潜入した屋敷で、この身体と引き換えに情報を得ました。それで仕事が上手くいって、何がご不満ですか?私は、己の身体を慰めたかっただけ。それをするなと仰るのなら、頭領が私を抱いてくれますか?」
俺は、返す言葉が無かった。
八尋は自嘲的に笑い。
「…冗談です。頭領は男に興味がおありでないから、私を満足させることはできません。でも、男を好む者は、男の悦ぶツボを心得ております。この間は、そんな癖の男と知らず、最中に焼けた火箸を押し付けられて少々参りましたが…この程度の折檻には慣れておりますので、ご心配なく。すぐ治ります。」
「俺は…こんなことさせる為にお前をあすこから助けたワケじゃねぇ…!」
「何処までなら耐えられるか。その線引きはきちんとしているつもりです。ご心配には及びません。
仕事の為に、妥協したくないだけです。」
やっぱり八尋は頑固で、俺の言うことなんか聞きゃしねぇ。
「くれぐれも、無理はしてくれるな…」
それだけ言うのが精一杯だった。
八尋は顔を背け、目を逸らした。
「誰に付けられた?お前、この間のヤマの情報、どうやって仕入れた?下働きの女共の噂話にしちゃ詳しいし確かだと思ったんだ!俺は、こんなことまでしてお前に情報取れなんて言った覚えはねぇ!二度とするな!」
八尋は逸らしたままの目の下に朱を走らせ。
「私が、好きでやっていることです…」
と呟いた。
やおら俺に向き直ると、挑戦的な眼差しを向けてくる。
「頭領も鷺も、廓に行かれるでしょう?私の寂しさは誰が満たしてくれるのですか?
確かに私は潜入した屋敷で、この身体と引き換えに情報を得ました。それで仕事が上手くいって、何がご不満ですか?私は、己の身体を慰めたかっただけ。それをするなと仰るのなら、頭領が私を抱いてくれますか?」
俺は、返す言葉が無かった。
八尋は自嘲的に笑い。
「…冗談です。頭領は男に興味がおありでないから、私を満足させることはできません。でも、男を好む者は、男の悦ぶツボを心得ております。この間は、そんな癖の男と知らず、最中に焼けた火箸を押し付けられて少々参りましたが…この程度の折檻には慣れておりますので、ご心配なく。すぐ治ります。」
「俺は…こんなことさせる為にお前をあすこから助けたワケじゃねぇ…!」
「何処までなら耐えられるか。その線引きはきちんとしているつもりです。ご心配には及びません。
仕事の為に、妥協したくないだけです。」
やっぱり八尋は頑固で、俺の言うことなんか聞きゃしねぇ。
「くれぐれも、無理はしてくれるな…」
それだけ言うのが精一杯だった。