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陽炎ーもうひとつの物語ー
第6章 決意
「お前はどうしてんだよ。」

「何でそんなに拘るんでありんすか?女郎の舞台裏など、お客様にお聞かせする話ではありんせんのに…」

煙管をふかしながら困ったように笑う。

「いいから。」

「しょうのないお人…」

桜はまた一つ、吸った煙を吐く。

「妓楼の風呂には、湯の出る管がありんしてなぁ。それで毎日、身体の中を洗い流しんす。」

それは、どういう造りのモンなのか、直ぐには想像できなかったが。
家で自分で出来るもんかもわからなきゃ、そんな玄人の技を赤猫にしろと言うのも気が引けた。

「他にはないのか?…例えばよ、出来ちまったらどうすんだ?」

「そりゃ出来て仕舞えば中条流のお世話になるしかありんせんでしょう?」

わかりきったこと、とでも言いたげに吐き捨て、煙管の灰を煙草盆に落とした。

「中条流なぁ。名前は聞くこた聞くが、どんなことするか知ってるか?」
(中条流…堕胎専門医)

「さぁ。わっちはお世話になった事がありんせんから、仲間に聞いた話になりんすが…」

と、言葉を切り。

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