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陽炎ーもうひとつの物語ー
第6章 決意
だが、一人で抱えあぐねてたのも確かな話で。
俺は溜め息をつき、弱音を吐いた。
鷺は面白そうにニヤニヤしていた。
「なんてぇか、因果な稼業だよな、盗賊なんてよ」
「珍しいね」
「この仕事について、後悔なんかしたことなかったのによ。俺もだいぶ焼きが回ったな。歳かねぇ」
「何言ってんの。まだ歳って程じゃないでしょ。でも何か心境の変化があったんだ?…察するに、猫ちゃんのことかな?」
あまりの鋭さに心の臓が跳ね上がった。
「・・・なんか聞いたのか?」
「別に。カマかけただけ。でも図星なんだ?」
俺の顔を見えねぇ目で覗き込むように、首を捻る。そのニヤけた顔に無性に腹が立った。
「おまっ!いい加減にしろよ!失せろ!!」
鷺は肩をすくめて、
「何があったか知らないけど。市サンの意外な顔が見れたよ。女のことで悩むなんて、フツーの男だね、市サンも。」
コイツに弱音を吐いちまったことを心底後悔した。
「うるせぇよ!とっとと失せろっつってんだろうが!!」
「はいはい、退散しますよ。」
鷺はひらひらと片手を振ると、よっこらしょ、と杖に頼って腰を上げる。
足元を杖で探りながら、ゆっくりと来た道を帰って行った。
残された俺は、やり場のない溜め息を吐いた。
俺は溜め息をつき、弱音を吐いた。
鷺は面白そうにニヤニヤしていた。
「なんてぇか、因果な稼業だよな、盗賊なんてよ」
「珍しいね」
「この仕事について、後悔なんかしたことなかったのによ。俺もだいぶ焼きが回ったな。歳かねぇ」
「何言ってんの。まだ歳って程じゃないでしょ。でも何か心境の変化があったんだ?…察するに、猫ちゃんのことかな?」
あまりの鋭さに心の臓が跳ね上がった。
「・・・なんか聞いたのか?」
「別に。カマかけただけ。でも図星なんだ?」
俺の顔を見えねぇ目で覗き込むように、首を捻る。そのニヤけた顔に無性に腹が立った。
「おまっ!いい加減にしろよ!失せろ!!」
鷺は肩をすくめて、
「何があったか知らないけど。市サンの意外な顔が見れたよ。女のことで悩むなんて、フツーの男だね、市サンも。」
コイツに弱音を吐いちまったことを心底後悔した。
「うるせぇよ!とっとと失せろっつってんだろうが!!」
「はいはい、退散しますよ。」
鷺はひらひらと片手を振ると、よっこらしょ、と杖に頼って腰を上げる。
足元を杖で探りながら、ゆっくりと来た道を帰って行った。
残された俺は、やり場のない溜め息を吐いた。