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Short Cake〜官能短編集〜
第2章 モンブラン

次の日お兄様はわたしと体を重ねた記憶はほとんど残っておらず、
いつも通りの優しい彼に戻っていて戸惑った。

だけど…


シャワーを浴びながら自分の体に付けられた無数の赤い印なぞりお兄様の熱を思い出す。

こんなこといけないのに。
一度知ってしまった快感がわたしの体を蝕む。

処女を失ってもなお彼を嫌いになれなかったのは
またあの温もりを、淫らな熱を、
与えてほしいと体が欲してしまったから。

わたしはディランお兄様の部屋に向かうと誕生会の夜のことを話した。
彼はさほど驚く様子も見せず、こう言った。


「シェリーはどうしたい?
もう僕と顔も会わせたくない?
それとも…
また僕に抱かれたいと思う?」

わたしは嬉しかった。
養女としてこの屋敷にやってきて、
誰もが優しくわたしを受け入れてくれた。
それでも今までに培われてきた愛情や絆のようなものは私だけに欠けていて
どこかで孤独感を感じていたのだ。

どんな形でも彼が私を欲してくれることや、
体を重ねることでその孤独感を埋めることができると。


「抱いて…ください…
ディランお兄様…」


あれから1年。

彼は家族には優秀な次男を演じ、
私の前では男に変わる。

2人の秘密はまだ誰にも知られていないと、
そう思っていた。


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