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Short Cake〜官能短編集〜
第1章 チョコブラウニー
「わかった。そんな俺との距離が気になるなら、
俺は加藤の後ろに立って教えて、
視界に入らないようにするから。
それならいいだろ?」
自分から先生と距離を取ろうとしたくせに、
先生に逃げられるととてつもなく悲しくなってしまう。
この喪失感はなんなんだろう?
「やっ…先生、大丈夫ですから!
隣に…座ってください…」
寂しさに身を任せて、思わず左手で先生の袖を掴んで引っ張ってしまった。
「……そうか?
まあ加藤がいいならいんだけど。
続きするぞ?」
先生はそんな私の行動に気付かないふりをして隣に腰掛けた。
先生との距離を縮めるには、
逃げてちゃいけないんだ!
袖を掴んだ手を離すタイミングを失って、
そのまま勉強が開始されてしまった。
左手は使わないから不自由はないけど、なんだか掴んだ手から自分の心臓の音が伝わってしまうんじゃないかと更にドキドキしてしまう。
しばらくそのまま握っていると、
気付かれていないと思っていたのに先生の手がそっと私の左手に触れた。
それなのに先生は顔色ひとつ変えずにどんどんページを進めていく。
先生、なにを考えているの?
そう思って目を見つめると先生と目が合って完全に手を握られた。
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