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BLACK WOLF~調教~
第1章 漆黒
黒埼さんからすれば、私1人を養う事など訳はないが、こんな広い邸に居候となると肩身が狭いものがある。

自己満足とはいえ働いていれば少しは堂々としていられるし

こんな広い家に1人でいるとなると毎日暇で暇で仕方ない。

書斎にある本や映画は全部見ちゃったし、黒埼さんは仕事で留守がち。

お手伝いの酒井さんも毎日来る訳じゃないし…。


居候させてもらうのは悪いからと家事をすれば

「それはメイドのやることだ」と、黒埼さんに止められて

「お嬢様にそんな事はさせられません」と、酒井さんにまで止められてしまい…。



だからこそ私も何か、アルバイトを始めたいと思ったのだ。

大反対する黒埼さんを説得して何とか見つけた仕事。

某大手のファーストフード店での接客。



時間は朝の9時から15時まで。

休憩時間を覗く5時間勤務。

本当は朝から夜まできっちり働きたかったけど


「門限は17時」「時間厳守。残業の類いは認めない」等、有りとあらゆる条件を付けられてしまったのだ。

それでも、あの広い邸に1人切りは息が詰まってしまうので渋々ながらその条件を飲んだ。

…これって、ある意味DVだよね?とか、少しの疑問を感じながら。




しかし、アルバイトを初めて1ヶ月ほど経った今日、職場のスタッフの何人かが冬になると猛威を奮う感染症に侵され高熱を出して出勤停止に。

仕方無く残業をしてくれないかとお声がかかってしまった。

働く時の条件として残業の類いは一切しないと黒埼さんと約束したけど、さすがにこれは非常事態だ。

事情を話せば黒埼さんもわかってくれるだろうし、邸に帰っても黒埼さんはいつも仕事でいないし、1、2時間の残業ぐらいなら問題はないだろう。



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