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料亭『満月』
第1章
私は切り出した。
「仁科君は入って何年目かね?」
彼女は慌てて顔を向けた。
「わ、私ですか? はい、私は三年目です。今年の春から営業部になりました」
「そうか……春から営業ね……失礼だが、仁科君は何歳かね?」
「私ですか? はい、今年二十八歳になります」
「二十八!」
私は驚いて見せた。
「君を見たら、二十二、三に見えたよ」
「そんな……」
また照れてうつむく。
思い出したように顔を上げた。
「大変失礼ですけど、専務は何歳でいらっしゃいますか?」
「私かね? 一度若い子に訊きたかったのだが……私は何歳ぐらいに見えるのかな?」
「そ、そうですね……専務は私から見ると四十代後半、四十八歳くらい、うちの三谷課長と同じくらいでしょうか?」
「仁科君、うれしいことを言うね……そうか、私はそのくらいに見えるのか……実は……五十五だ」
「え、そうなんですか? とてもそんな風には見えません。お若く見えます」
「はは、君は営業向きかも、しれないね」
私は微笑んで見せた。
「仁科君は入って何年目かね?」
彼女は慌てて顔を向けた。
「わ、私ですか? はい、私は三年目です。今年の春から営業部になりました」
「そうか……春から営業ね……失礼だが、仁科君は何歳かね?」
「私ですか? はい、今年二十八歳になります」
「二十八!」
私は驚いて見せた。
「君を見たら、二十二、三に見えたよ」
「そんな……」
また照れてうつむく。
思い出したように顔を上げた。
「大変失礼ですけど、専務は何歳でいらっしゃいますか?」
「私かね? 一度若い子に訊きたかったのだが……私は何歳ぐらいに見えるのかな?」
「そ、そうですね……専務は私から見ると四十代後半、四十八歳くらい、うちの三谷課長と同じくらいでしょうか?」
「仁科君、うれしいことを言うね……そうか、私はそのくらいに見えるのか……実は……五十五だ」
「え、そうなんですか? とてもそんな風には見えません。お若く見えます」
「はは、君は営業向きかも、しれないね」
私は微笑んで見せた。