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料亭『満月』
第1章
「そう、被災地まで……」
「ええ」
「それはいい心がけだね……うちの若い連中にも見習わせたいね……」
「いえ、そんな……仕事もプライベートも充実させたいんです」
「そうか……プライベートもね……仁科君……そっちに行っていいかな?」
彼女の隣りを指差した。
「こちらにですか……?」
「この座卓が大きすぎて、せっかく若い女性から酒を注いでもらうのに、いちいち手を伸ばさなきゃならないし、君も大変だろ?」
「え、ええ」
私はコップを持ち立ち上がると、彼女の隣りに腰掛けた。
「では、専務、どうぞ……」
彼女がビールを注ぐ。
さっきよりは手元が落ち着いているようだ。
柑橘系の甘い香りが微かに届く。
飲み干したあと、沈黙が続いた。
彼女が思い出したように口を開いた。
「ええ」
「それはいい心がけだね……うちの若い連中にも見習わせたいね……」
「いえ、そんな……仕事もプライベートも充実させたいんです」
「そうか……プライベートもね……仁科君……そっちに行っていいかな?」
彼女の隣りを指差した。
「こちらにですか……?」
「この座卓が大きすぎて、せっかく若い女性から酒を注いでもらうのに、いちいち手を伸ばさなきゃならないし、君も大変だろ?」
「え、ええ」
私はコップを持ち立ち上がると、彼女の隣りに腰掛けた。
「では、専務、どうぞ……」
彼女がビールを注ぐ。
さっきよりは手元が落ち着いているようだ。
柑橘系の甘い香りが微かに届く。
飲み干したあと、沈黙が続いた。
彼女が思い出したように口を開いた。