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料亭『満月』
第1章
「あ、そうです。前回御社に伺った時に、専務はいらっしゃらなかったので、もう一度今回の複合機の説明をさせていただいてよろしいでしょうか?」
彼女は私の返事を待たずに鞄からカラーのカタログを取り出し、私の前に広げた。
「今回の複合機MD7000型も、当社が数ある機種から厳選した必ず満足いただける製品だと思います。ご説明しますと、例えばスキャン機能ですが……」
彼女は製品の機能の説明を話し始めた。
説明になると饒舌になった。
多分、型通りに覚えた話をすることは得意なのだろう。
私は手を上げて彼女の話しを制した。
「いいんだ、仁科君、機能も値段も君のところとワールドも大差ないのだ。こういう場合私が重視するのはなんだと思う?」
突然話しを遮られた彼女は、その問いにどう答えていいか、言いよどんだ。
私が答えた。
「人だよ」
「人……ですか?」
彼女は私の返事を待たずに鞄からカラーのカタログを取り出し、私の前に広げた。
「今回の複合機MD7000型も、当社が数ある機種から厳選した必ず満足いただける製品だと思います。ご説明しますと、例えばスキャン機能ですが……」
彼女は製品の機能の説明を話し始めた。
説明になると饒舌になった。
多分、型通りに覚えた話をすることは得意なのだろう。
私は手を上げて彼女の話しを制した。
「いいんだ、仁科君、機能も値段も君のところとワールドも大差ないのだ。こういう場合私が重視するのはなんだと思う?」
突然話しを遮られた彼女は、その問いにどう答えていいか、言いよどんだ。
私が答えた。
「人だよ」
「人……ですか?」