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料亭『満月』
第1章
視線を上げず、返事をしなかった。
「君が約束したことを守りなさい。君の努力を見せるんだ。いいね?」
まだ意思表示がなかった。
「今度は自分から、入れてください、と言ってみなさい……クライアントに薦めるのが営業の仕事だ」
彼女が泣きそうな顔をして、首を何度も横に振る。
「そうか……じゃあ、私は帰るとしよう」
私は立ち上がろうとした。
「待って……ください……」
「ほう……」
「本当に……本当に、言うことをきいたら……契約していただけますか? このことは三谷課長にも黙ってていただけますか?」
「君が努力するという約束を守るなら、私も約束を守る……」
「わかりました……専務……」
数秒の沈黙のあとだった。
「い、入れて……ください……」
聞こえないほどの小さな声だった。
「ん? なに? もう一度、大きな声で」
一瞬目を上げ
「入れてください!」
そう言い放つと、また下を向いた。
「おお、いいね……そうだ、でも営業の君がクライアントに言うんだから『入れて、具合を確かめてみてください』の方がいいな……そう言ってみなさい。ほら、もう一度顔を上げて……」
「君が約束したことを守りなさい。君の努力を見せるんだ。いいね?」
まだ意思表示がなかった。
「今度は自分から、入れてください、と言ってみなさい……クライアントに薦めるのが営業の仕事だ」
彼女が泣きそうな顔をして、首を何度も横に振る。
「そうか……じゃあ、私は帰るとしよう」
私は立ち上がろうとした。
「待って……ください……」
「ほう……」
「本当に……本当に、言うことをきいたら……契約していただけますか? このことは三谷課長にも黙ってていただけますか?」
「君が努力するという約束を守るなら、私も約束を守る……」
「わかりました……専務……」
数秒の沈黙のあとだった。
「い、入れて……ください……」
聞こえないほどの小さな声だった。
「ん? なに? もう一度、大きな声で」
一瞬目を上げ
「入れてください!」
そう言い放つと、また下を向いた。
「おお、いいね……そうだ、でも営業の君がクライアントに言うんだから『入れて、具合を確かめてみてください』の方がいいな……そう言ってみなさい。ほら、もう一度顔を上げて……」